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もしもの時に役立つ防災コラム

これからは【攻める防災】

こんにちは。国際災害レスキューナースの辻直美です。
私はこれまで国内外合わせて30ヵ所以上の被災地に入って活動をしてきました。私の経験をもとに日頃からの心がけ・備えなどみなさまにお伝えします。

2025年になり、これまで考えられなかったような災害があちこちで起きています。今まで無事だったから、これからも大丈夫とは言い切れない。突然、家にあるものだけで、何とかしのがなくてはならない。そんな状況になる可能性は大いにあります。
特に食事については、物資が手に入らなくなることもあるかもしれない。長期戦を考えたらメニューのバリエーションが豊かでなければ、同じものばかりを食べ続けることになり、心も相当落ち込みます。あなたはそのような状況になった時、対応できますか?
過去のコラムでは、いろいろなことを想定して防災についてお話をしてきました。
今回は『食のバリエーションをたくさん持つ』という災害スキルについてお話ししたいと思います。

介護も育児も、被災した時も味変料理で乗り切った

私は毎日買い物には行けません。出張も多く東京と大阪の家を行ったり来たりする生活だから、なるべく家にあるもので自炊するよう心がけています。そこでよくやるのが、残り物をアレンジして全く違う料理に変身させること。これはゲーム感覚で非常に楽しく思っています。

義父母の介護をしつつ、我が息子たちの離乳食を作る。そんな時は出汁に野菜もお肉も入れたスープを大量に作っていました。お肉がない時は冷凍シュウマイをスープの中に凍ったままドボン!!シュウマイがとても良い仕事をしてくれて、皮のおかげでとろみもついたりして、高齢の義父母にも、離乳食時代の子どもたちにもちょうど良かった。そこから味変しながら、手を加えながら、その世代に合わせた料理を作っていたことは、今でもいい思い出になっています。

ちょっと体調が悪い、今日は外が寒くて、買い物に行きたくない、そんな時にもあなたを助けてくれるのが「防災メシ」なのです。以前このコラムでも餃子を他の料理にするのをご紹介しました。こういうことを普段からやっておくと、色々な非常事態にも慌てずに対応できます。

大阪府北部地震で被災した時はこのテクニックが本当に役に立ちました。固形燃料やカセットコンロを使って温かい料理を食べる。それだけでも幸せですが、さらにその時にあるものをどんどん変身させていろんな料理を食べました。近所の人も呼んで、冷蔵庫の中にある冷凍食品を持ってきてもらって名前のない料理もつくりました。意外な組み合わせが絶妙なおいしさになり、こんなことでもなかったら、こんな食べ方しなかったねと大笑いしたこともあります。

家の中のものは全て備蓄と考える

『災害時のために、わざわざストックを用意するのは難しい』と思っているなら、日常と災害を切り離して考えているのかもしれません。日常のためにストックしているものと、災害用のものを分けて考える必要はありません。分けて用意していたら、スペースも必要だし、お金もかかります。その上、1年後にチェックしたら賞味期限が切れていた!なんてこともよく聞きます。今はフェーズフリー(「日常時」と「非常時」という2つのフェーズをフリーにするという考え)が主流になっています。家にあるものは日常ストックであり、災害時に使える防災備蓄でもある。常温でストックしているものだけではなく、冷蔵冷凍の食品も、私の中では備蓄品です。


今回、味の素冷凍食品(株)が作っている焼売類が、ギョーザ類と同様に停電時でも24時間程度ならおいしく食べられるということが検証されました。安全性が確認されたということで、さらに私の中ではシュウマイはマストの備蓄品となりました。そこでシュウマイを別の料理として作るアレンジをご紹介したいと思います。

【エビシューマイで作るエビチリ風】

「プリプリのエビシューマイ」 4個
ごま油 小さじ1
豆板醤 小さじ1/2

A:水 大さじ4、ケチャップ 大さじ2、砂糖 大さじ1、中華スープの素 小さじ1、
豆板醤 小さじ1/2、しょうゆ 少々、長ねぎ(みじん切り) 大さじ1、
しょうが(すりおろし) 少々、にんにく(すりおろし) 少々

①フライパンにごま油を小さじ2分の1入れ、エビシューマイを入れて、蓋をして中火で焼く
②3分たったら蓋を開いて、ひっくり返しカリカリになるまで焼き、フライパンから一度出す
③フライパンに小さじ2分の1のごま油を入れ、豆板醤を入れて香りが出るまで炒める
④Aを全部フライパンに入れて3分煮る
⑤フライパンにカリカリになったエビシューマイを入れて混ぜ合わせる

【シュウマイ DE ラザニア】

「ザ★®シュウマイ」 4個、ポテトサラダ 適量、ブロッコリー 4房、
ピーマン 1個、しめじやエリンギ 適量、市販のトマトソース 適量、
春巻きの皮 1枚もしくは餃子の皮 4枚、
ピザ用チーズたっぷり、バター少々

①グラタン皿にバターを薄く塗る
②フライパンにシュウマイ4個を入れ、蓋をして蒸し焼きにする。(3分)
③シュウマイに火が通ったら、フォークで荒く潰す
④春巻きの皮を、半分にカットしてグラタン皿に敷く、または餃子の皮2枚を敷く
⑤シュウマイを2個分敷き詰め、野菜・キノコ適量、トマトソースとチーズを載せる
⑥春巻きの皮の残り半分、または餃子の皮2枚を「⑤」の上に載せる
⑦ポテトサラダと野菜・キノコ、残りのシュウマイ2個分を「⑥」の上に載せる
⑧たっぷりとチーズを載せる
⑨オーブントースターで170度で15分焼く


どちらもまさか冷凍シュウマイで出来たとは思えないような見栄えで、レンチンでなくても充分おいしくいただけます。
こういう料理は自分が体調を崩した時にも助けてくれます。作る工程も難しくないし、味は私が絶対においしいと保証できる商品を使っているので問題ありません。もし停電で24時間冷蔵庫に通電しなくても、安心して味の素冷凍食品のギョーザ類と焼売類でアレンジ料理を楽しんでいただければと思います。

※味の素冷凍食品によると「ご家庭の環境により差が出ることが考えられるので、調理の際は匂いなどを確認し、異臭・違和感があればご使用はお控えください。」とのことです。

最後に伝えておきたいこと

2025年が始まって3ヶ月、この間に今まで日本では考えられないような災害が各地で起きています。例えば雪爆弾。最初はそんなことがあるのか?と言われていましたが、実際は各地で起きています。また、季節外れの豪雨が降ったのに、乾燥による山火事の頻発、街中でもあちこちで火事が起きています。岩手県大船渡市の山火事災害では、被害エリアが予想以上に広がりました。埼玉県八潮市で起きた道路の陥没は被害にあった方だけではなく、近隣住民にも、生活に大きな影響を与えています。
被害にあわれました方に、心よりお見舞い申し上げます。

現段階で何か起きていなくても、次の瞬間にはどうなるかわからない。だからこそ、災害に備えて準備しておく必要が、今まで以上にあると私は考えています。防災は被災ゼロを目指してするものではありません。もしもの時に怪我をしない、家の中のものが倒れたり落ちたりしても最小限の被害で抑える。そして早く日常に戻ることができる。そのために防災というものがあるのです。

災害と聞くと、大きな自然災害や人災をイメージする人が多いでしょう。このコラムでも何回も書きましたが、寝坊したこと、子どもがテーブルで水をこぼす、幼稚園のバスに間に合わない、ゴミ出しを忘れる…これは全て災害と言えます。そんな時に慌てずに冷静に対応できる自分になるために準備をしておく=防災です。

私は最近どんなことにも動じなくなってきました。不安はたまにはあります。だけど、それで冷静なジャッジができないという事はありません。それは、準備を積み重ねてきたからだと確信があります。
不安な人は慌てる、騒ぐ、そして怒ります。だからこそ、『慌てない、騒がない、怒らない』を目指して、ちょっとずつ準備しておくことが大事なのです。

先日、久しぶりに救命救急外来時代の同期と会うことになりました。昔話に花が咲き、その時に言われたのが「あんたは昔から慌てへんし、騒がへんよね。ちゃんと準備しとったなぁ」(このニュアンスは関西弁じゃないと出せないのでそのまま書いておきます(笑))そんなふうに見られていたのかと驚きました。準備していたわけではなく、その場にあるもので何とかしていただけなのです。でもそれは常に観察をし、これって使えるかなぁと試していたような気がします。そんな気軽にやっていることが、いざという時に自分を助けてくれます。

災害はやはり怖い。特に今まで体験したことがないほどの被害を起こすであろう南海トラフ地震については、全くの未知数の災害となる可能性があります。しかし怖いと身構えれば、体が硬くなって何もできません。
いつ来るか分からないからこそ、日常生活も大事にしてほしいと思います。家族や友人と大事な時間を過ごす、旅行や娯楽で非日常な体験をする。いざというときには対応できるように準備をしておく。このハイブリッド生活がこれからは必須になってくると思います。

このコラムの中でいろいろなことをお伝えしてきました。その中での軸は『災害は怖いけれど、防災はおもろい』これにつきます。防災にハマれば生活は変わり、心の余裕ができます。そして驚くほど人に優しくなれます。そんな効果があるなんていまだにびっくり!

防災をしているのに家がきれいになる。自分1人で頑張らなくても、家族が、みんなが協力して、家がきれいな状態をキープできる。無駄遣いをしなくなる。ストックの管理ができる。何があっても何とかできる。不安が減り毎日が楽しくなる。こんなに良いことしかないのに、やらない手はありません。

残念ながら南海トラフ地震はいずれ必ずやってきます。それ以外の災害もあちこちで起きています。どんなことが起きたとしても、人はお腹が空くし、トイレにも行く。そして寝ます。その時にあるもので、なんとかするという技術を持っていれば、人は生き延びて乗り越えることができると信じています。

これからは、もっと攻めた防災が必要です。我慢する避難生活から、豊かな避難生活にシフトしていきませんか?これまで書かせていただいたコラムが、あなたの心のどこかに留まっていて、そのヒントをふっと思い出していただければ幸いです。

執筆者:国際災害レスキューナース 辻 直美
※コラムの内容は、筆者の経験に基づく見解です。
2025/3/21掲載