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もしもの時に役立つ防災食コラム

簡単!時短!ローリングストックの極意

こんにちは。国際災害レスキューナースの辻直美です。
私はこれまで国内外合わせて30ヵ所以上の被災地に入って活動をしてきました。私の経験をもとに日頃からの心がけ・備えなどみなさまにお伝えしていきたいと思います。

災害時の備蓄の必要性

災害が起きると食料の確保が最優先されます。備蓄の必要性を感じている方も、実際に食料を備蓄しておくことはなかなか難しいもの。災害時に役立つと言われている保存食も、「購入したものの管理ができずに賞味期限が切れて無駄なことをしてしまった」という話もよく伺います。

購入に際しても、何を買えばいいのかわからなかったり、食べたことがないものは口に合うかもわからないし、食べ方を知らなければ、食事にありつけなかったりするかもしれません。
そこで提案したいのが「ローリングストック」。
災害時のためだけではなく、普段の生活にも役立つ方法です。今回はローリングストックの考え方をベースに、どんなふうに食事を用意するのかをご紹介しましょう。

ローリングストックとは?

ローリングストック、最近この言葉を聞くことが多くなってきました。世の中はフェーズフリーという考え方も広がっていて、日常と災害時を区分けせずに考えて準備する傾向があります。保存食を備蓄しておくことも、もちろん大切なことではありますが、日常の中に食料備蓄を取り込むという考え方もあります。まさにこれがローリングストックの原点です。

普段から少し多めに食材、加工品を買っておき、使ったら使った分を新しく買い足していく。常に一定量の食料を家に備蓄しておく方法を「ローリングストック」と言います。

ポイントは日常生活で消費しながら備蓄することです。
食料等を一定量に保ちながら、消費と購入を繰り返すことで、備蓄品の鮮度を保ち、いざという時にも日常生活に近い食生活を送ることができるはず。
そして、災害時のために用意するのではなく、普段からよく食べているもの、自分が好きなものを多めに買うという点が重要です。常に自分が好きな食べ物、よく食べる食材があるというのは心の安心に繋がります。

例えば台風がやってくるというニュースがメディアから発信されると、コンビニのある棚だけが空っぽになることがあります。それは カップ麺、おにぎり、菓子パンです。他の商品は在庫があるのですが、それらだけが売り切れるのです。これは、まさに不安からの行動です。台風がやってくる。ライフラインが切れるかもしれないので、準備をしてくださいというニュースを耳にする。すると調理をしなくても食べられるおにぎりや菓子パンを買っておこう、お湯だけで食べられるカップ麺も便利でいいなという気持ちになります。それが普段から購入して食べているものならば問題ありません。なぜならそれを食べて元気になるし、気持ちも上がるからです。しかし食べたことがないものだったら、被災時に食べても口に合うかわからない、食べても元気になれるか疑問です。何よりも、被災しなかったら・・・?それは無駄なものになってしまいます。

しかし家にあるもので、調理する方法もわかっていたら、わざわざコンビニに買いに行かずともなんとかなるのではないでしょうか?急に病気になった時も同じです。家に備蓄があればなんとかなる。ローリングストックを実践していれば、フードロスも防げるし、常においしいと思うものが家にあるので、いざという時に対応できる防災対策になるのです。

ローリングストックのポイント

ポイントは2つあります。
1つは使う時は古いものから使うこと。備蓄する食料が古くなってしまわないよう、消費の際には必ず一番古いものから使うようにしましょう。私はストックする際には新しいものを右側に、もしくは買ってきたものは奥に配置しています。そうすると左側、もしくは手前は賞味期限が短い商品になるため、自ずと循環できます。

もう1つのポイントは、使った分は必ず補充することです。ローリングストックでは、備蓄品としてストックしているものはいつ食べても構いません。ただし、消費した量を必ず買い足すようにしましょう。ちょっと補充を怠ったタイミングで災害が来る可能性もあります。消費した分の補充はなるべく早めに行いましょう。

私は備蓄のそれぞれに定数を設けています。一番多いストックは、袋物の塩味のインスタントラーメン。我が家では、これが一番アレンジしやすいので必ず4つは家にキープしています。しかも・・・、他の味も2つずつあるので、インスタントラーメンだけで、1人8食分は確保できているわけです(笑)。
他にもパスタやホットケーキミックス、そうめん、お米もあります。冷蔵庫、冷凍庫にも常備品はたくさんあります。一番は冷凍餃子と冷凍シュウマイ。この2つはそのまま食べてもおいしいけれど、他の料理にもアレンジしやすいため日常的に食べています。他には冷凍パスタ、冷凍うどんなども2つは必ずキープして、食べたら購入しています。

ローリングストックのひと工夫

私のローリングストックのラインナップを見て、何かお気づきになったでしょうか?実は、そのまま食べるものよりも調理して食べるものが多いんです。ローリングストックで日常の食材を多めに準備しておいても、災害時はガスや電気、水道が止まり、食材を調理できないことが想定されます。大抵の人はそこで思考が停止しています。ローリングストックでは、非常食だけを備蓄しているわけではないので、それらの備蓄を食べるためにもカセットコンロとガスボンベが必需品となります。ライフラインが切れてどうやって調理するの??と思ったあなた!あなたの家にはカセットコンロはありませんか?もしくはキャンプ用品、固形燃料などはないでしょうか?

私はカセットコンロや固形燃料で調理する前提で備蓄をしているんです。あなたの家にカセットコンロやボンベがないなら、いますぐ購入しておいてくださいね。災害時にはカセットコンロやガスボンベは、ホームセンターはもちろん、ネット販売もすぐ売り切れて入手困難になります。

過去の災害で被災された方の多くが「避難生活の際に温かいものが食べたかった」と語っています。 ローリングストックの応用としては、食料だけでなく日常使いできる生活用品にも活用できます。日常的に使用する保存食、飲料水、ウエットタオル、カセットボンベ、乾電池、使い捨てカイロなどは、常に一定量、家庭に置いておくようにすると、突然の災害にも対応しやすいです。日常で使いながら、常にガスボンベは一定量を確保しておきましょう。

アレンジ次第で防災メシは豊かになる

インスタントラーメンがあれば、ラーメンとして食べる。これが普通です。しかし一回に500ccの水が必要だし、毎回ラーメンでは飽きてきます。なので私は簡単で、すぐにできるインスタントラーメンと、なるべく少ない食材を使って、違う料理にアレンジして食べます。なぜならいろいろストックするよりも同じ食材を飽きないで食べたほうが管理しやすいからです。ツジナオ流アレンジ防災メシをご紹介しましょう。

[焼きそばとスープ]

1)インスタントラーメンをホットサンドメーカー(直火式)に入れて100ccの水を加えて5分加熱、裏にして2分加熱
2)モチモチの中華麺になっているので、皿にのせる
3)お好みの肉やカット野菜などを油で炒める
4)麺を加えて 塩胡椒、ソースで味付けをする
5)ラーメンに付属されている粉末調理料を半分、お湯200ccに溶かしてスープにする

[味付けをアレンジしたら和風カルボナーラ風に]

1)から3)までは同じ
4)塩胡椒、少量の醤油、牛乳50ccがあればベスト、なければスキムミルクやマリームなどの粉末乳製品に水50cc加える
5)粉チーズ、少量のバター、なければ駄菓子のチーズ味を粉々にして加える

冷凍シュウマイは本当に使えるアイテム

電子レンジで温めることができなくても、カセットコンロと鍋、ザル、ふたで簡易蒸し器が作れます。

[簡易蒸し器]での温めかた

1)鍋に収まるザルをいれます(鍋底とザル底の間は1.5cmほど空いているのがベスト)
2)水を100cc入れて沸騰させる
3)ザルにシュウマイを入れ8分中火で加熱する
4)鍋のお湯にはシュウマイのエキスが出るので、顆粒出汁のもと、醤油で味付けしてスープにする
※蒸して温めたシュウマイは格別のおいしさです

ホットサンドメーカー(直火式)があれば、焼いてもいただけます。

[焼きシュウマイ]の調理法

1)ホットサンドメーカー(直火式)をカセットコンロで2分加熱(裏表)
2)冷凍シュウマイを1)に入れる
3)中火で表3分 裏3分加熱する
4)お好みで醤油やソースをかけて食べる

[ポトフを味変しながら、最後には冷凍シュウマイをいれてカレーに]

1)塩味のポトフを作って食べる
2)残りにトマトケチャップを入れてトマトスープにして食べる
3)その残りに冷凍シュウマイとカレールウを入れてカレーとして食べる

というように冷凍食品も十分に備蓄アイテムとして使えるのです。冷凍パスタを湯煎で温めて食べたり、常温の野菜や冷凍野菜なども加えてボリュームを増やしたりしています。
また、レトルトのパスタソースや缶詰は「調味料」として使っています。もちろんそのままパスタにかけて食べても美味しいのですが、アレンジ次第でご飯のバリエーションは無限大です。蒸した野菜にジェノベソースをかけたらイタリアンホットサラダになります。
トマトソースやボロネーゼなどはスープの調味料になります。クリーム系のソースはシチューなどの煮込み料理のベースにしたり、リゾットにしたりしています。

このような調理法は、災害時だけではなく、日常的にしているため、気軽に作ることができます。作り慣れているというのは、災害時にはとても大事なことです。非日常な状況は受け入れることも困難で、いつもできることができないと思い知らされます。食事は肉体的な部分だけではなく、精神的にも大事な要素です。いつもと違うものばかり食べていると心が落ちこんで鬱になることもあるのです。作るという行為に対して、ハードルが低ければ低いほど「アレンジ」が可能となります。ないならこれでやってみるというアイデアも思い浮かぶかもしれません。そのためにも自分が日常的に食べるものを少し多めに買って管理するローリングストックは、最強の防災対策なのです。

いつも食べていて好きなものを備蓄する、ここが私の提案する【おいしい楽しい防災メシ】です。日本の災害時の食事は、最低限、質素から抜け出していません。そんなご飯では力が出ない。さらに気持ちが落ち込みます。これからの防災メシは、「おいしい、温かい、好きなものを食べる」だと思います。それを実現するのがローリングストックで作る防災メシです。

執筆者:国際災害レスキューナース 辻 直美
※コラムの内容は、筆者の経験に基づく見解です。
2023/3/20掲載