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「フリーザー脱フロン化」20年の軌跡(後編)
フロン冷媒から地球にやさしい自然冷媒へ

前編に続き、私、「ストーリー」専属ライターXが、約20年もの歳月をかけて歩んできた味の素冷凍食品「フリーザー脱フロン化」についてレポートします。
前編では、今から約20年前の取り組み開始当時の話を取り上げましたが、後編では、2020年「フリーザー脱フロン化」完遂までの道のりが実際どのようなものだったのか、舞台の裏側に迫ります。

前編はこちら

約20年間の道のり

2006年、「フリーザーフロン全廃」と地球にやさしい「自然冷媒」への転換を2020年までに実現すると公的に宣言した味の素冷凍食品。この一大プロジェクトにおいて最も頭を悩ませたのは「商品供給を継続しながら、いかにフリーザーを更新するか」だったという。
確かに、凍らせるための大型フリーザーがなければ、そもそも冷凍食品をつくることができない。また、フリーザー休止に備えて在庫を溜めようにも、通常の商品供給を行いながら、急に作り溜めなどできないはずだ。しかも、国内全工場となると、商品カテゴリーや商品数も多岐にわたる。一体どうやって、商品供給を絶やすことなく、大型フリーザー更新を実現したのだろうか。

ライターX:フリーザーを更新するということは、その間、商品を作れないということですよね。

社員:はい。そこで、同じ商品を複数の工場で生産できるように設計し、工事期間中、他の工場でバックアップ可能な体制を整えました。

ライターX:確かに「ギョーザ」のパッケージを見ると「関東工場」「中部工場」「四国工場」「九州工場」と記載があります。

社員:ただ、ひとつの商品を複数工場で作るというのは、実はそう簡単なことではないのです。というのも、たとえば「ギョーザ」だと、小麦粉と塩と水を混ぜ合わせて工場で「皮」を作るのですが、当たり前に使っている「水」が地域ごとに違うことで、「皮」の弾力感が変わってきます。また、具を混ぜる機械も工場ごとに大きさが異なることで、具の粘り具合も変わってきます。

ライターX:「水」の違いは、思いもしませんでした。それに、家庭で料理するときも、一度に作る量が違うと「あれ?いつもと仕上がりが違うな」と思うことがあります。そう考えると、工場ではその何倍もの影響がありそうですね。

社員:そうなんです。でも、私たちは、全国どこでも同じ品質の商品をお客様にお届けしたい。そこで、出来上がり品質を各工場で合わせるために、時間や温度などの細かい条件を綿密に計算し、調整を繰り返しながら、1年近くかけて詰めていきました。

ライターX:それだけでも大変ですね。他にはどんな工夫があったのでしょうか?

社員:商品供給を絶やさないために、とにかく生産を止めないことを最優先に考えました。そのため、既存設備を少しずらしてスペースを生み出し、生産を続けながら、その生み出したスペースに新しいフリーザーを設置しました。
そして最後に、前後の設備を完成した新しいフリーザーにつなぎ変えることで、生産休止期間を極力短くしました。

社員:他にも、たとえば、餃子と焼売の製造ラインが並行している場合、焼売を餃子のフリーザーにつなぎ変え、一時的に餃子のフリーザーを餃子と焼売で兼用することで、生産を継続しながら、新フリーザーへの切り替えを進めていきました。

ライターX:何だか、鉄道で新しいホームや途中に新しい駅ができるのと似ていますね。何となくイメージが湧きました。

このように、20年かけて少しずつ着実に「自然冷媒フリーザー」への切り替えは進んでいった。

▲冷媒別フリーザー基数の推移

そして驚いたのは、これまでのフリーザーをただ置き換えたのではなく、設備能力アップとシフトの効率化により生産能力を増強することで、当初計画の47基から27基までなんと20基もフリーザーを削減しているのだ。
ちなみに、およそ200億円と言われた総投資額も約90億円に抑えたという。

▲国内生産量とフリーザー基数の比較

それだけではない。

社員:商品の大きさ、形、厚み、物性等によって、凍らせるために必要なエネルギーは異なります。つまり、常に100%全力でフリーザーを動かす必要はありません。そこで、1台のフリーザーに対するエネルギー源を小分けにし、商品に応じて必要なエネルギーのみを使う仕組みを構築し、省エネ運転も実現しました。

▲エネルギー使用イメージ

2020年「フリーザーフロン全廃」の完遂と未来の地球のために

この取り組みを通じ、2000年には年間約70tあった「特定フロン」が2020年にはゼロに。
これは、二酸化炭素排出量換算だと、年間42,000世帯分もの二酸化炭素排出量が削減されたことに相当する。

冷凍食品業界で先駆けて唯一「フリーザーフロン全廃」を実現した味の素冷凍食品。
しかし、これがゴールではない。
現在、先進国は2036年までに「代替フロン」85%削減が義務づけられているが、味の素冷凍食品は、2030年には国内外の冷凍冷蔵庫に使用している「代替フロン」を全廃するとし、自然冷媒100%への転換を実現すべく歩みを進めている。しかしその道もまた、自社のみならず設備メーカーの技術開発をも伴う大がかりなものとなるようだ。

社員:「フリーザーフロン全廃」という、20年前に1企業だけで始まった当社の取り組みが、今や他社も同様の目標を掲げるようになり、冷凍食品業界全体で未来の地球のための活動が広がりつつあります。約20年前に描いた未来が、まさに現実となりました。そして今、私たちは、2030年には、2018年比で二酸化炭素排出量50%削減という目標を掲げ、取り組みを開始しています。他にも、フードロス削減、プラスチック削減等、地球にやさしい取り組みを少しずつ着実に前進させ、この「フロン全廃」に向けた取り組みのように、やがては同じ課題を抱える業界全体で世の中を変えていくことができたらよいと思っています。

味の素冷凍食品がチャレンジし続ける環境への取り組みに、今後も期待したい。

▲国内7工場の製造技術メンバー

2022/9/20掲載

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