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SPECIAL CONTENTS INTERVIEW

「家族みんなで安心しておいしい食卓を囲めるように」 アレルギーっ子ママの日常を変える?「やわらか若鶏から揚げ」開発秘話

小麦、卵、乳など……食物アレルギーのある我が子の安心・安全な食環境を守るために、あらゆる食品・食材に目を光らせ、食事は基本手作り。外食でも気を遣い、既製品にも気軽に手を出せない。“アレルギーっ子ママ・パパ”たちの日常は心配と緊張の連続で、なかなか気が休まりません。

それでも、たまにはほっと一息、家族みんなで安心しておいしい食事を楽しみたい。

そんな想いに応えるべく、約2年の開発期間を経て生まれ変わった「やわらか若鶏から揚げ」。
小麦・卵・乳不使用で、さらにおいしくなりました。

そこで、小麦・卵アレルギーを持つ9歳のお子さんのお母さんである須田桂さんと、
味の素冷凍食品開発担当者の笹枝由紀子さんにお話をお聞きしました。

須田桂
料理が苦手な専業主婦。そんな私が作るご飯を「美味しい」と言って食べてくれる、9歳と7歳の息子と夫の4人家族。長男は生まれた時から小麦と卵のアレルギー持ち。「はやくみんなと同じものが食べたいなぁ」という息子の言葉を胸に、毎日真剣に献立を考えている。
笹枝由紀子
味の素冷凍食品の社員。から揚げの開発を担当。お客さまの声を励みに、みんなを笑顔にできるおいしい商品をたくさん世の中に届けていきたいと思って日々奮闘している。

子どもの命を守るために。毎日の食事に気を抜けないアレルギーっ子ママの日常

まず、須田さんにアレルギーっ子ママとしての実体験をお聞きできたらと思います。お子さんのアレルギーがわかったのはいつ頃だったのでしょう?

須田
もともと私がアトピーだったので、アレルギーの原因となる食べ物、特に小麦・卵・乳には気を付けていました。離乳食に少しずつ使い始めて問題なかったので、生後11ヶ月の頃に、ドリアを作って食べさせたんです。そしたら、蕁麻疹が出てしまって。慌てて大泣きする息子を連れて、町の小さなかかりつけ医に駆け込みました。その後、総合病院で血液検査をして、小麦と卵のアレルギーがあることがわかりました。

そこから、アレルギー症状が大きく出たことはありましたか?

須田
アレルギーがあるとわかって1年後くらいに、通っていた保育園でアナフィラキシー※1を引き起こしてしまいました。当時、二人目が生まれたばかりということもあり、一時預かりで週に数日保育園に通っていました。もちろん保育園にもアレルギーがあることは伝えてあった※2のですが、たまたま担任の先生がお休み、預かる子どもの人数もいつもより多かったなど、偶然が重なってしまったことで、息子が給食のナンを1枚、食べてしまったんです。保育園から「全身に蕁麻疹が出て、咳も止まらない」と、電話があり、すぐに駆けつけて病院に連れて行きことなきを得たのですが、「この症状なら迷わず救急車を呼ぶように」と言われました。
※1 蕁麻疹など皮膚の症状、咳など呼吸器の症状、唇の腫れなど粘膜の症状が全身に複数あらわれるアレルギー反応。 ※2 厚生労働省からの「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に基づき、保育所(園)・幼稚園では「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」の様式が運用されています。

そうなると、ご自宅、保育園や学校での日々の食事にも気が抜けなくなってしまいますよね。普段の食事の中で、どんなことに気を遣っていますか?

須田
一般的な醤油は原料に小麦を使っているので、醤油にもアレルギー反応が出てしまうケースもありますが、幸い息子は大丈夫だったので、自宅では和食が中心の食事を作っています。

初めて食べる食材は少しずつ試し、家族みんなで食べるものは、卵と小麦を使っていない同じ食事を用意していました。たまに、こっそり次男とラーメンを食べに行くこともありましたが(笑)。

年齢を重ねるうちに少しずつ食べられるようになってきたのでしょうか?

須田
本当に少しずつではありますが、食べられる量・食べられるものが増えていって、9歳の今では、20分ほどしっかり火を通したゆで卵丸々1個を食べられるようになりました。以前に比べたらだいぶ楽になりましたが、ここまでの道のりはなかなか長かったですね。

年に1回は病院で血液検査を受けて、数値が下がってきたものに関しては、少しずつ食べて症状が出ないかを確かめる。どんなに数値が下がっても実際に食べてみないとわからないんですよね。うどんを茹でて1cmに切ったもの、たまごボーロ、ちくわなど。症状が出る可能性もあるので、何かあった時のために、病院の待合室で食べさせて、大丈夫だったら翌日も自宅で食べさせる。その繰り返しでした。少しずつでも食べられるようになったものや食べられる量を一覧表で記録するようにしています。
※ 血液検査では原因食物に対する反応の有無を0~6までの数値で示され、数値が高いほど「陽性」となります。しかし、検査結果と、原因食物を食べたときの症状は必ずしも一致するとは限らないので、「陽性」が出ても必ずしも食物アレルギーであるという診断にはなりません。

学校ではどんな対応をされているのでしょうか?

須田
小学校には毎年、食物アレルギーがあるもの・ないものなどをかかりつけの医師に記入してもらう「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」を提出し、先生と面談をさせてもらっています。

小学校1年生の時は、給食センターで卵の除去は対応できるけれど、小麦はできないと言われてしまい、毎日お弁当を作って持っていっていました。当時は息子に対して負い目もあって、できるだけみんなと同じものを食べられるように、給食と同じメニューをアレルゲンフリーの食材で作っていて、とにかく必死でしたね。

なんと、頭が下がります。2年生からは給食が食べられるようになったのですか?

須田
給食で出るものと同じものを少しずつ試していって、1年で食べられるものが増えたので、2年生からは卵の除去のみで給食を用意してもらいました。ただ、小麦は運動誘発であとから症状が出る可能性もあるので、1ヶ月ほどは給食時から昼休みが終わるまで、学校へ通って様子を見ていました。

私の対応はレアケースかもしれませんが、給食時に完全に誤食事故を防ぐことがまだまだ難しいと聞いたので、後悔しないよう、親として子どもの命を守るために、できることは全部しようと思っています。

食事は毎日のことですから、気が抜けずなかなか休まりませんよね。

須田
とにかく大変ですね。アレルギーっ子対応のレシピ本を買って試したこともありましたが、簡単には手に入らない食材を使っていたり、手間をかけてもおいしくなかったり。

特に揚げ物は、たとえば片栗粉と水で作る竜田揚げのように食べられるものであっても、アレルゲンを含む他のものを揚げた油を使ってしまうと、アレルギー反応が出るケースもあります。幼い子どもがいる家庭での揚げ調理は油はねなどの危険も伴いますし、正直、出来合いのものを買いたいですね。

家族みんなで安心しておいしい食卓を囲めるように。アレルギーに配慮した商品の開発秘話

さて今回、味の素冷凍食品から小麦・卵・乳不使用のから揚げが誕生しました。
ここからは、その「やわらか若鶏から揚げ」開発担当者の笹枝さんに開発秘話をうかがっていきます。どのような経緯で、アレルギーに配慮した商品の開発に着手したのでしょうか?

笹枝
以前から、弊社のお客様相談室には、食物アレルギーのあるお客様からのお問い合わせを多くいただいていました。「から揚げにある小麦のアレルギー表示は醤油由来ですか?」と。

というのも、発売から20年以上の「やわらか若鶏から揚げ」は、もともとうす衣でカラッと食感を出すために、衣に小麦粉ではなく米粉を使っているんですね。しかし、調味料として使っている醤油の原料に小麦が含まれているので、商品パッケージには「小麦」のアレルギー表示をしなければなりません。商品のパッケージ表示を見て、衣に小麦が使われていないことに気づいたお客様から、“アレルギー表示の小麦は何由来のものか”確認の問い合わせをたくさんいただいていたんです。
須田
私も市販のものは必ずパッケージ表示を見て、原料を確認します。たとえ表示がなくても、本当に大丈夫かな?と思った場合は、直接、問い合わせをしますね。
笹枝
まさに。お客様の声を聞いて、醤油さえ小麦を使っていないものに変えれば、アレルギーの方にも安心して食べてもらうことができ、家族みんなで同じ食卓を囲んでから揚げを楽しんでいただけるのではないか、と考えました。

アレルギーに関するお問い合わせが多いとのことですが、実際に小麦・卵・乳のアレルギーの方は多いのでしょうか?

笹枝
近年、食物アレルギーは増加傾向にあって、その原因食物の約7割が「小麦・卵・乳」と言われており、特にお子さまの発症率が高いのが特徴です。ですが、小麦アレルギーは大人になってからの発症率も少なくなく、より重症度も高いと言われています。

お客様の声に、近年のアレルギー事情も重なって、アレルギーの方もそうでない方も一緒に安心して食卓を囲めるおいしいから揚げを作ろうと、開発を進めることを決めました。

実際に開発を進めてみて、苦労した点はありましたか?

笹枝
発売から20年以上が経過している「やわらか若鶏から揚げ」は、この味を気に入ってくださっているお客様がたくさんいらっしゃいます。だから、「小麦・卵・乳不使用にしたからおいしくなくなった」は許されません。むしろ、さらにおいしくすることがミッションにありました。

しかし、味の決め手である醤油には小麦が使用されており、小麦を使用していない醤油に変える必要がありました。そこで、醤油メーカーさんと一から、小麦ではなく米を炒って作る醤油を開発することから始めました。醤油を変えるとなかなかコクと味の深みが思うように再現できず、苦労しましたね。醤油の味を引き立てる製法も含めて、約2年間、約100回試作を重ねました。

既存の商品の醤油を変えるだけと言っても、なかなか長い道のりですね。

笹枝
そうですね。「小麦を使用していない醤油」を使って、さらにおいしいから揚げの味にたどり着いたら、今度は、「小麦・卵・乳」不使用の安全性を高めるために、製造工場の設備を見直さなければなりませんでした。せっかく醤油を変えても、以前と同じ環境で設備を使っていると、小麦の成分が混ざってしまう可能性もありますから。何度も洗浄を繰り返し、時間をかけて何度も検証し、安心・安全な製造環境・設備を整備しました。

今回、合わせて、小麦・卵・乳不使用の新商品も開発されたんですよね?

笹枝
はい。お弁当用の「国産鶏のうまから揚げ」です。
※「国産鶏のうまから揚げ」は2021年に「国産鶏のやさしいからあげ」にリニューアルしています。
アレルギーにも対応した商品の開発を進める際、実際にアレルギーを持つお子さんの親御さんにヒアリングをしたところ、食卓用とお弁当用、どちらも欲しいと、ご意見をいただいたんですね。

既存の「やわらか若鶏から揚げ」は一枚肉から大ぶりにカットしていて一粒が大きく、二段仕込み製法で醤油の香ばしさがアップし、晩御飯のおかずとして食卓に並べていただきやすいもの。一方、お弁当用は一口サイズで自然解凍でもおいしく召し上がっていただける商品になっています。

製造工場が違うので、お弁当用の新商品も製造環境や設備を整えながら、既存品とは異なるレシピでおいしい味付けを何度も試作しました。加えて、既存の「レモンとバジルのチキン香り揚げ」「柚子胡椒のチキン香り揚げ」も小麦・卵・乳不使用にリニューアルしました。

気軽に買えて、便利でおいしい。アレルギーっ子の家族の食卓を豊かにするから揚げ

アレルギーっ子のママとして、今回の小麦・卵・乳不使用のから揚げの誕生はどうですか?

須田
アレルギーっ子ママたちはみんな、待っていました!という気持ちだと思います。から揚げは大人も子どもも大好きですし、家族みんなで同じものを安心しておいしくいただけるのが何より嬉しいですよね。

冷凍庫に入れておけば、疲れた時はチンして食べることができると思うと、気が楽になります。子どもが喜ぶ、御社の「それいけ!アンパンマンポテト」にも助けられましたが、より選択肢が増えて嬉しいです。

アレルギー対応の商品は、あまり近所のスーパーでは売ってないので、送料無料にするためにネットでまとめ買いして冷凍庫がパンパンになってしまったり、需要が少ないからか販売中止になってしまったり。でもこの商品は、スーパーで買えて、値段もお手頃で、おいしい。ありがたい限りです。

我が家のから揚げはこれで決まり! 冷凍庫に常備しておきたいと思います。

実際に開発して店頭に並んで、どんな反響がありますか?

笹枝
お客様相談室には、普段、お問い合わせが多いのですが、この商品に関してはお礼の言葉をいただくことが多いんです。それだけ求められていたものなんだと、実感しています。今回、須田さんのお話をお聞きして改めて、心から開発できて良かったと思いますね。
須田
ぜひずっと、店頭からなくさないでほしいですし、そのほかのアレルギー対応商品も開発していただきたいです!
笹枝
今回、開発してみて、お客様に喜んでいただけることを実感したので、時間がかかってしまうかもしれませんが、一歩一歩、アレルギーに配慮した商品の開発を進めたいと思っています。アレルギーの方もそうでない方も、一緒に安心しておいしい食卓を囲んでいただけるように。

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