国内外の工場に納入する設備・機械の開発・改良、新たな技術の開発などを行うのが主な仕事です。たとえば、商品の品質を高めながら、生産性を向上させるための改善。たとえば、工場で働くスタッフがより安全に、そして快適に働けるようにするための改善。工場や商品開発などさまざまなセクションのスタッフとのコミュニケーションを大切にし、探り出した課題や問題点をいかにクリアしていくのか…。既成概念にとらわれない創意工夫が求められます。
「この装置を改良して食品の解凍に使えないものでしょうか」
ある機械メーカーの展示会でのこと、エビシューマイの技術開発担当の田中誠は展示会のスタッフに質問をぶつけた。返ってきた答えは、予想していたとはいえ「それは無理だ」というつれないものだった。しかし、田中にはその機械が解凍装置に改良できるという直感めいた確信があった。ものごとを見つめるときに、これまでの常識にとらわれず新しいまなざしをもつこと。それは、これまでの経験で学んだことだ。田中は、自らのアイデアを提案しながら根気強くアプローチする。その結果、何度もの試行錯誤ののちに新しい解凍装置が誕生した。

冷凍食品を生産するうえで求められるのは、冷凍技術ばかりではない。海外から冷凍保存された状態で輸入される原料素材の品質をいかに保つかという、解凍技術も求められる。どんなにすばらしい素材であっても、その持ち味を生かすも殺すも解凍の仕方しだいなのである。そのアプローチは、「おいしさは素材から」を標榜する味の素冷凍食品の企業方針と合致するものだ。

田中が生産技術開発部に異動になったのは、2003年10月のことだった。担当は、工場でも携わったことのあるエビシューマイである。3年半におよぶ工場での経験で、田中はチームワークの大切さと自発的に改善すべきポイントを見つけ出すことの重要性を叩き込まれた。技術開発には、既成概念にとらわれない発想と創造力が求められる。今回の解凍装置についても、新しいアイデアが盛り込まれている。解凍するだけでなく、同時に輸入素材に含まれる混入物をも除去するというものである。品質を向上させながら、ふたつの工程を同時にこなすことで生産性をも向上させる。その発想は、工場での実務経験があったからこそ生まれたものだ。

田中の技術に対する想いには独特なものがある。学生時代から、店頭で誰もが日常的に手に取れる商品にかかわる仕事に就きたいと思っていた。自動車産業や精密機器などの産業より、もっと身近な一般消費材にかかわりたいという想いである。冷凍食品の分野は、まさに田中の希望にかなう業種だった。そして、工場での経験から、技術開発は工場で働く人や商品開発、さらには取引先まで、あらゆる人とのコミュニケーションを基本とした良好なチームワークが重要であるということを学んだ。生活者を満足させる冷凍食品は、技術者のひとりよがりではなく、みんなが力をあわせてはじめてつくられる、ということである。

ある日、田中は工場へ出向いて装置の不具合がないかをチェックしていた。製造機械の洗浄を工場スタッフたちと一緒に行ったため、帰宅するのは深夜になっていた。ふと夜空を見上げると、いくつもの星がきらめいていた。
―あの宇宙空間には、氷点下の熱が無尽蔵に存在する。それを生かして冷凍食品をつくれたら、どんなにいいだろう。
そこまで考えたとき、夜空の美しさより熱に想いを馳せている自分に苦笑した。
田中 誠  makoto tanaka
生産本部 生産技術開発部
技術開発グループ
2000年入社
大学院 機械工学科卒業
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