工場の生産効率を高めるために改善すべきポイントを探り、生産ラインの設備や装置などのハードウェア、人などのソフトウェアの両面から具体的な対策をほどこします。また、トラブル時の適切な対応など、判断力と行動力が求められる側面も。味の素冷凍食品ブランドの安心品質をめざし、スタッフの指導を行うとともに、快適に働ける環境づくりを行うことも大切な業務のひとつです。
「現地マネージャーのJohnは、房宗信拡と目が合うなり大げさな歓びのジェスチャーをしながら握手を求めてきた。シューマイの生産効率アップが具体的な数値として表われたからだ。生産ラインの改善策が目に見える結果をもたらしたことに、発案者である房宗はほっと胸をなでおろした。
入社以来、包材・設備開発に携わっていた房宗は、かねてからメーカーの根幹である生産現場を知りたいと考えていた。その一方で、海外研修制度を生かして自分の経験を積みたいとの想いもあった。アメリカの工場への赴任は、その2つが同時にかなったものだった。生産現場での経験は、
ほとんどゼロの状態。しかも、目のまえには立ちはだかるのは言葉の壁。自分のポリシーである「いまできることを一生懸命やる」という姿勢で障害をクリアしたからこそ、成功は大きな歓びであり、たしかな自信につながるものだった。

アメリカの工場で房宗が手がけたもののひとつが、生産ラインの改善である。課題は、生産部門の効率化と省人化。生産効率を高めるためには、設備面の要素と人的な要素がある。このとき房宗が目をつけたのは人的な要素で、作業スタッフの意識改革だった。それまでは言葉で説明すると一時的には改善されても、しばらくすると元通りになってしまうことがほとんどだった。

−スタッフたちがやる気を出し、それを継続させるにはどうすればいいだろう。
考え抜いた末にたどりついた改善策が、生産効率の指標をつくることだった。単位時間あたりに1人のスタッフがどのくらいのシューマイをつくっているのか。パソコンで業務効率を定量的にはかれるツールをつくり、いまの生産効率を知らせることにした。明確な指標があれば、新しい目標をつくりやすくなる。
そうすればスタッフのモチベーションは高まるに違いない。房宗が思い描いたシナリオが現実となるのに時間はかからなかった。頑張れば数値が上がり、しかも上司が評価してくれる。スタッフたちがポジティブな連鎖を実感できるようになると、自発的に頑張ろうという雰囲気が生まれたのだ。この効果は工場内に波及し、ほかの生産ラインにもいい影響をあたえることになった。1年間の海外研修を終えた房宗は、得がたい経験というプライスレスなみやげを胸に帰国した。

材料研究に没頭していた大学院から、さまざまなことにチャレンジしたいとの想いで入社した房宗にとって、当初、生産現場は遠い存在だった。だが、いまでは違う。数々の経験は、ものづくりの現場である工場を知らないとメーカーの本質はつかめないとの想いをいっそう強めることになったのだ。九州工場で前処理の工程管理とスタッフの指導にあたっているいまの目標は、現場での業務をもっと知り、スタッフにとっていい環境をつくることにより、生産技術の発展や改善をしていきたいということ。その実現に向けたチャレンジは、惜しまないつもりでいる。なにかの映画のセリフではないが、安心して食べられるおいしいものは現場でつくられているのだ。

ある晩、自宅で妻とテレビを見ていると、あるAV製品のコマーシャルが流れた。特定の工場でつくり込まれる品質を、ひとつのブランドとして打ち出すものだった。現実を考えれば不可能な話だが、心の裡では自分の工場でつくる商品はひとつのブランドだとの自負はある。もっとも、それほど大きな夢ではなくても、個人的に大切な夢はかなえているつもりだ。
−わが家には、自分の工場でつくった商品を食べて笑顔になる家族がいる。
房宗 信拡 nobuhiro fusamune
生産本部九州工場製造グループ
1997年入社
大学院 機械創造工学専攻卒業
ページトップへ