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−スタッフたちがやる気を出し、それを継続させるにはどうすればいいだろう。
考え抜いた末にたどりついた改善策が、生産効率の指標をつくることだった。単位時間あたりに1人のスタッフがどのくらいのシューマイをつくっているのか。パソコンで業務効率を定量的にはかれるツールをつくり、いまの生産効率を知らせることにした。明確な指標があれば、新しい目標をつくりやすくなる。
そうすればスタッフのモチベーションは高まるに違いない。房宗が思い描いたシナリオが現実となるのに時間はかからなかった。頑張れば数値が上がり、しかも上司が評価してくれる。スタッフたちがポジティブな連鎖を実感できるようになると、自発的に頑張ろうという雰囲気が生まれたのだ。この効果は工場内に波及し、ほかの生産ラインにもいい影響をあたえることになった。1年間の海外研修を終えた房宗は、得がたい経験というプライスレスなみやげを胸に帰国した。
材料研究に没頭していた大学院から、さまざまなことにチャレンジしたいとの想いで入社した房宗にとって、当初、生産現場は遠い存在だった。だが、いまでは違う。数々の経験は、ものづくりの現場である工場を知らないとメーカーの本質はつかめないとの想いをいっそう強めることになったのだ。九州工場で前処理の工程管理とスタッフの指導にあたっているいまの目標は、現場での業務をもっと知り、スタッフにとっていい環境をつくることにより、生産技術の発展や改善をしていきたいということ。その実現に向けたチャレンジは、惜しまないつもりでいる。なにかの映画のセリフではないが、安心して食べられるおいしいものは現場でつくられているのだ。
ある晩、自宅で妻とテレビを見ていると、あるAV製品のコマーシャルが流れた。特定の工場でつくり込まれる品質を、ひとつのブランドとして打ち出すものだった。現実を考えれば不可能な話だが、心の裡では自分の工場でつくる商品はひとつのブランドだとの自負はある。もっとも、それほど大きな夢ではなくても、個人的に大切な夢はかなえているつもりだ。
−わが家には、自分の工場でつくった商品を食べて笑顔になる家族がいる。
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