商品カテゴリーという枠を超えたボーダーレスな研究活動を実施。新商品、リニューアル商品を問わず、開発グループから提示される改善テーマへのソリューションとなる技術開発に向けた研究を行います。ほかにも自主的なテーマを掲げ、商品化に向けた技術開発を実施します。次代の冷凍食品をつくる技術の種をまき、発芽させ、育んでいくのが研究グループです。
「例のあのサンプル、とってもカラダにいいみたいよ」
ホームユーステストをしていた社員の感想を聞いたとき、丸山はうれしくて思わず破顔した。新商品が世に出る前には、あらかじめ社員によるホームユーステストを行い、その声をフィードバックしていく。丸山が手がけていた新商品は、味の素冷凍食品として初めての試みだったからこそ、テストの評価には否が応でも敏感にならざるを得なかった。

“健康志向のニーズに応える冷凍食品”というコンセプトの商品企画が持ち上がったのは、2006年初頭のことだ。その第1弾として研究・開発がスタートした新商品は、新しいカテゴリーへの参入となる画期的なものだ。味の素が商品化しているある素材の有効成分を冷凍商品に落とし込むもので、有効成分を保持しながらおいしさを追求することが課題として掲げられた。

研究・開発スタート当初、丸山は期待感より不安感を抱いていた。商品づくりのノウハウがまったくないため、どうアプローチすべきかわからなかったからだ。丸山は思った。新しいカテゴリーの研究・開発に取り組めるチャンスなど、そうあるものではない。しかも、健康というテーマは学生時代から取り組んできたものだ。自らを鼓舞しながら、手探りながらも目の前の仕事に没頭した。
素材の有効成分をどう活かしていくか、試行錯誤が繰り返された。熱を加えると成分が分解されるため、自然解凍でなければならない。しかも、素材本来の機能を閉じ込めながら、おいしさという課題もクリアしなければならない。有効成分の測定、保証から商品の嗜好性、さらには機械の選定やラインの構築まで、山積する課題をすべてクリアしていかなければならなかった。気が遠くなるほどの試行錯誤を繰り返した末、商品化の目途が立ったときには2007年の夏になっていた。

今回の研究・開発では、マーケティング部門と連携しながら味の素との共同体制がとられたため、丸山は群馬県の研究・開発センターを飛び出して東奔西走することもしばしばだった。社内のさまざまな部門のスタッフや、味の素の研究スタッフとの出会いは、食品づくりにはさまざまな専門分野がからんでいることをあらためて実感させるものだった。そして、この経験は自分自身が成長していくうえで確かな栄養成分になったと、丸山は実感している。

丸山が大切にしていることがある。料理には人間の五感すべてが使われる、という考え方である。味覚や視覚、嗅覚、聴覚、食感をひとつひとつ解きほぐし、また組み合わせることから、おいしいという感情や幸福感が芽生えてくる。研究者という立場でその現場に立ち会えることは、言い尽くせない充実感があった。
その一方で、丸山はかねてからもどかしさを抱いていた。冷凍食品はカラダに悪いと思っている人がまだまだ多いという現実だ。学生時代から健康をテーマに研究してきた自分から見ても、冷凍食品が健康によくないということはない。丸山は健康アプローチの冷凍食品をつくれる喜びを感じながら、健康にいい冷凍食品というカテゴリーを切り開いていけたらと強く思うようになった。

新婚ほやほやの丸山は、ある夜、夫とレストランで食事を楽しんでいた。テーブルに並ぶ料理を目の前に、このおいしさをつくっているのは何だろう、と無意識のうちに考えている自分に気づくと苦笑した。
丸山絢子 ayako maruyama
研究・開発センター 研究グループ
2004年入社
自然科学研究科 生物資源科学専攻卒業
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