本社マーケティング本部から提示されたコンセプトに基づき、商品ごとにチームを組んで開発活動を実施。素材や調味料の選定のほか、食感などについても厳しく吟味します。業務用の場合には個別対応という性格が強く、柔軟性が求められます。開発グループの業務フィールドは広く、商品の安全性や品質ばかりでなく、工場の生産ラインの効率化にもおよびます。
“それいけ! アンパンマンポテト”のリニューアル計画がある。
佐々木慎治がその情報を知ったのは、味の素冷凍食品に入社して2年目の2006年5月のことだった。巡りあわせといえばそれまでだが、佐々木はこの仕事は自分のためにあるのではないかとの想いを強く抱いた。
佐々木にはアンパンマンポテトへの特別な想いがある。小学生時代に母親が弁当のおかずに入れてくれたアンパンマンポテトの味は、むかし食べた思い出深いポテトフライを彷彿とさせるものだった。以来、佐々木にとってアンパンマンポテトはただおいしいだけではなく、思い出や感動もプレゼントしてくれる特別な食べ物になっていたのだ。

アンパンマンポテトのリニューアルに自分も参加したい。佐々木がそう強く思うのは当然のことだった。上司に何度もアプローチした結果、その情熱が受け入れられ、入社2年目でありながら開発メンバーに名を連ねることになったのだ。
リニューアルのポイントは大きく2つ。カルシウムや緑黄色野菜を加え、ジャンクフードのイメージが強かったフライドポテトを健康志向の食品に変えること。そして、“ドキンちゃん”という新キャラクターを新たに仲間入りさせること。味や食感だけでもクリアすべきことが多いのに、キャラクター使用のライセンス取得にも取り組まなければならない。開発期間が短いリニューアル商品としては、極めてハードルが高いものだ。

佐々木は、新キャラクターのライセンス取得に向け、持ち前のがむしゃらぶりを発揮して奔走した。キャラクターを扱う場合、商品化にこぎつくにはクリアしなければならないことが多い。もし著作権者に承認されなければ、リニューアル企画の大きな目玉を失うことになるのだ。

ミリ単位での試作づくり、型起こし、製造ラインでの剥離しやすさなど、佐々木が製造過程で調整すべき項目は多岐におよんだ。加熱してふくらんだ状態でもキャラクターに似ていなくてはならないため、調整しては加熱調理し、加熱調理しては試食して調整するというステップをストップウォッチ片手に何度も繰り返した。試行錯誤の挙句、テレビ局との調整を経てライセンスを取得できたのは、秋の気配が色濃くなった10月末のことだった。感慨にふけりながら完成した“ドキンちゃん”のハート型の目をあらためて見たとき、彼女が自分に対して感謝しているような錯覚すらおぼえた。

2007年春、新しい“それいけ! アンパンマンポテト”が店頭に並ぶようになったある日の夕方、佐々木は家の近くにあるスーパーマーケットの冷凍食品コーナーにいた。 「ねえママ、ドキンちゃんがいるこれ買って」弾むような子どもの言葉に、笑顔でうなずき返す母親の姿があった。
キャラクター商品である以上、子どもを笑顔にするのは大切なことだ。そして何より、自分が手がけた新しいアプローチの商品が人に感動や喜びをあたえていることがうれしかった。

これからも自分のがむしゃらぶりをどんどん発揮していこう。味の素冷凍食品には、それを受け入れてくれる土壌がある。佐々木は自宅に戻ると、スーパーで買い求めたアンパンマンポテトをオーブントースターでカリッと焼いて口に放り込んだ。心の奥底に眠っていた懐かしさが押し寄せてきた。
佐々木慎治 shinji sasaki
研究・開発センター 開発第2グループ
2005年入社
自然科学研究科 生体機能専攻卒業
ページトップへ