自分でつくり、伝えることのできる会社として内藤が選んだのが、味の素冷凍食品だ。入社後2年間の営業部での仕事を通じ、相手が求めていることを理解し、要求を満たす術をおぼえた。マーケティングの仕事に携わっているいま、トータルなコミュニケーションを大切にしている。その基本にあるのは、自らが好奇心をもって知ること。商品に関わるさまざまなことを調べる努力を惜しまない姿勢だ。たとえば今回、先輩社員の口添えで焼鳥屋に出向き、自らの手で鶏を解体した経験もその一例だった。
2005年の晩秋に立ち上がったグリルチキンの新商品開発は、内藤にとって大きな財産となった。レシピ開発担当へのプレゼン、社長をはじめ役員が顔をそろえる開発会議でのダメ出し、改善ポイントをクリアしてゴーサインが出たときの歓び、スタッフたちとの良好なコミュニケーション…。すべては、マーケティングのスペシャリストへの血肉となっている。研究者のような探究心と、貪欲なまでのコミュニケーション力。それが他部署や顧客とのつながりを深め、業務にポジティブなパワーをあたえているのだ。
ある土曜日の昼下がり、内藤は自宅の近くにあるレストランに足を運んだ。無意識にオーダーしたのは、自分が携わったグリルチキンがプレートに並ぶメニューだ。ナイフを入れ、ひときれを口に含む。やわらかな噛みごたえのあと、ジューシーな味わいが口に広がった。
−いまどき冷凍食品とそうでない食品を区別することになんの意味もないよな。
先日、ある評判のレストランで食べたチキンの味を思い浮かべながら心の裡でつぶやいた。そして、昨日もチキンを食べたことを思い出すと苦笑せずにはいられなかった。
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