卸問屋の担当者と一緒にレストランチェーンやスーパーマーケット、居酒屋、ファーストフード、給食センターなどへの商品導入に向けた営業活動を実施。既存の商品だけでなく、アレンジした商品や個別の新開発商品、さらには梱包形態などまで、臨機応変の商品提案力が求められます。
「また味の素冷食さんのギョーザを仕入れたいんですが…」
北村晃子のもとに顔なじみのバイヤーから電話がかかってきたのは、入社2年目となる2007年初夏のことだった。一時は惣菜用ギョーザを納入していたものの、スーパーマーケットの独自生産を再開したいとの意向があり、納入が途絶えていた得意先だった。ふたたび商品を納入できることに北村はささやかな喜びを感じた。

味の素冷凍食品に入社した北村は、業務用事業部に配属された直後からそのスーパーマーケットの惣菜担当になっていた。数ヶ月が経ったとき、突然、惣菜用ギョーザを仕入れたいとの話が舞い込んできたのだ。右も左もわからない北村にとっては大きな仕事だ。サンプルがほしいというリクエストに応え、生産部門との調整を経た後、どうにか半月で納入にこぎつけた経緯がある。

納入後まもない2006年秋から翌2007年初頭にかけ、毎週金曜日の午後3時頃から店頭に立って試食販売を行っていた。店頭でギョーザを焼き、お客さまに試食していただきながら、どんな人が買い求めるのかを直接見られることは貴重な経験となった。性別やおよその年齢、買い求めていく量…。それぞれの人の暮らしまで垣間見えそうな光景は、まさにライブなマーケティングである。ある主婦から「味の素のギョーザに似てるわねえ」と言われたときには、業務用商品だから事実を言えないもどかしさを感じながらも、自社ブランドの味や食感が認知されていることに誇りすらおぼえた。
惣菜用ギョーザは軌道に乗り、新たに依頼を受けた特注品ギョーザの納入が佳境を迎えたときだった。突然、スーパー独自でのギョーザの生産を再開するとの連絡が舞い込んできたのだ。それは惣菜ギョーザからの撤退を意味していた。

苦渋の経験と強い思い入れがあったからこそ、惣菜用ギョーザの再度納入が決まったときには素直にうれしかったのだ。試作品の試食を繰り返した結果、前回とは違うギョーザの納入が決まり、素材の違う2タイプを販売することが決まった。

惣菜用ギョーザの納入経験を通じ、北村はほかの得意先でも生かせる多くのことを学んだ。足しげく通うことでバイヤーのみならず厨房や店頭スタッフとのコミュニケーションが深まり、現場の動きを皮膚感覚で知ることができたのだ。そして、会社や得意先を含めた業界全体が女性の意見を求めていることを確認できたことも将来への血肉となった。求められたときに自分の意見を言えるように、また自分の意見を新たな提案というかたちにできるように、つねに意識するようになった。
ある惣菜を提案したとき、飛ぶように売れたことがあった。現場を見つめ、時代の空気を肌で感じ、既成概念にとらわれず自分の感性にそって提案した商品だった。そのとき北村は、目のつけどころ次第で喜ばれる商品を提案することができることを実感した。

ある日、北村はスーパーでの買い物がてら惣菜コーナーに足を運んだ。目の前にはずらりと弁当が並び、それぞれのパックには何種類かの惣菜が肩を寄せ合っている。なぜと首をかしげたくなる組み合わせから、食べてみたいと思う組み合わせまでさまざまだ。それを見ながら、やっぱり目のつけどころなんだよな、とひとり心の裡でつぶやいた。
北村晃子 akiko kitamura
マーケティング本部 業務用事業部 東日本営業部
2006年入社
国際総合学類卒業
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