卸問屋の担当者と一緒に量販店やスーパーマーケットなどの小売店舗に出向き、商品導入に向けた営業活動を実施。得意先の問題点や課題を探り出し、その解決に向けた企画提案やセールスプロモーション活動を行います。自社製品だけでなく冷凍食品市場の動向をとらえる広い視野も欠かせません。信頼がなによりも大切となるので、良好な関係を築くことが大切です。
恨めしい雨空を見上げながら、和田真志は小さなため息をもらした。やっとの思いで実現にこぎつけたフェアの初日である。雨の日はスーパーマーケットへの客足が遠のくため、思うように売れないかもしれないなとの想いが心をよぎった。

和田がその大手スーパーマーケットの担当になったのは、2004年7月のことだ。売上げの落ち込みが激しい現実を目の前に、まずはどうすれは売上げを伸ばせるのかを検討することからはじまった。同じタイミングでバイヤーが変わったこともあり、和田が実践したのは確かな信頼を構築することだった。「営業は足で稼げ」という言葉を実践するように何度も店に足を運び、あるときにはマーケティングデータを提示し、あるときは企画を提案する日々がつづいた。店頭に出向くたびにバイヤーやスタッフたちと話し、コミュニケーションをはかりながら情報収集するとともに、陳列棚をきれいに整理するといった地道な作業を重ねた。

営業経験がまだ浅いながらも、和田には担当者と顔を合わせて話すことが強い信頼を生むという信念があった。スーパーマーケットの東京本部の企画とは一線を画し、関西エリア独自での展開となった味の素冷凍食品の単独フェアにこぎつけたのは、まさにこうした地道な努力を積み重ねた結果だった。

「今度のフェア、和田さんのところにお願いしようかな」
バイヤーの言葉を聞いたとき、和田はこれまでの努力が報われたと思ったが、喜んでいる暇はなかった。せっかくの機会を不意にしたら、期待に応えられないどころか積み重ねてきた信頼が揺るがないとも限らないからである。だからこそ、フェア初日が雨という天候にいつも以上にナーバスになったのだ。

スーパーに出向くと、雨降りにもかかわらず客足は思っていたほど落ちることはなかった。コーナーで自社製品を手にするひとりひとりに、ありがとうございますと声をかけたくなるほどだった。フェアは成功の裡に終わり、より確かな信頼を築くことができた。これをきっかけにフェアを開催する機会が増え、より深くスーパーに食い込むことができたのだ。1年が経ったときに振り返れば、売上げベースで前年比130%を達成していた。
ビジネスは会社どうしのつながりであることは言うまでもないが、その足もとをささえるのは担当者どうしのつながりにほかならない。仕事を通じて和田が実感するのは、営業テクニックもさることながら人と人とのつながりの大切さだ。

2006年に大阪から東京に異動した和田はいま、当時と同じようにスーパーマーケットを担当している。これまでの経験で営業スキルが高まっていることは実感しているが、客先にこまめに出向いてバイヤーや店頭スタッフたちと顔をあわせる姿勢に変わりはない。会わなければ、なにもはじまらないのだ。
ある日、和田はいつものようにスーパーに向かうために営業車に乗り込んだ。助手席に置いた鞄には新しい提案書が入っている。自分でも成功すると確信できる企画だ。フロントガラス越しに見える空には雲ひとつなかった。
和田真志 shinji wada
マーケティング本部 家庭用事業部 東日本営業部
2003年入社
経済学部卒業
ページトップへ