味の素冷凍食品の開発マンとして活動をはじめて3ヶ月が経ったある日、玉置公尋のもとに業務命令が下った。
「新しく生まれ変わるエビ寄せフライの開発に取り組んでほしい」
玉置は耳を疑った。エビ寄せフライといえば、この分野でシェアNo.1を誇る超ロングセラー商品である。ゼロから開発する新商品ではないとはいえ、会社の顔となる商品のリニューアルはハードルが高すぎるのでないかと思ったのだ。未知なる挑戦への高揚感と不安感に包まれながら、プロジェクトは2003年7月に始動した。

新生エビ寄せフライの開発コンセプトは、「油っぽさをなくし、サクサク感を出す」ことである。開発チームは、何十種もの素材や調味料を吟味しながらの試行錯誤を繰り返した。油っぽさとサクサク感の課題をクリアしたのは、2004年1月のことだ。だが、その先にはまだまだ課題が待ち受けていた。

地元で料理教室を開いている母親を持つ玉置は、開発の仕事はいわば商品をつくるレシピづくりだと考えていた。素材などを選定し、ベストな調理方法を生産部隊に伝えればいいのだろうと解釈していたのだ。だが、現実はそう簡単に割り切れるものではなかった。ラボでうまくできることが、生産ラインではうまくいかない。しかも、工場によって調理機器などのスペックが異なっている。製造方法を現場に持って行ってはNGということが何度もつづいた。結局、工場の生産ラインに乗せる目途が立ったのは、材料決定から半年が経過した2004年7月のことだった。

自分の非力を感じた経験は、玉置にとってかけがえのない財産である。素材メーカーとの折衝、工場のラインにのせる難しさ、味の探求…。新入社員でありながらかなりの裁量を与えてくれたことに、玉置は感謝の念すら抱いている。

エビ寄せフライは、この分野でのシェアNo.1を誇っている。今後シェアNo.1からONLY1へ、開発者として高い目標を掲げていたかったのだ。

 

販売後まもないある日、玉置は両親に新しいエビ寄せフライを送った。2日後に母親から電話があり、「おいしかった」と伝えてきた。
玉置公尋 kimihiro tamaki
研究・開発センター 開発第2グループ
(現在、生産本部九州工場商品導入グループにて活躍中)
2003年入社
大学院 自然科学研究科 卒業
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