研究開発センターに所属し、デザートの開発に携わる岩崎だが、その基本にあるのはマーケティングへのアンテナである。それは、マーケティング本部からのデータにとどまらない。時代の空気をつかみ、ダイレクトには食に関わらないことでも、そこからヒントを得ようとする。新しい素材や情報があればその発信現場に出向くように心がけるのも、その一例である。新しい素材を生み出すメーカーを尋ね現場に足を運べば、サムシング・ニューに出会う可能性が高いからだ。
岩崎には、客先との関係でなによりも大切にしていることがある。それは、納期を聞くよりも、まずはいち早く提案するという姿勢である。提案するタイミングが早ければ、その後に試行錯誤する時間が増え、それだけいい商品を提案するチャンスが増えるからだった。マーケティング志向の開発者として岩崎がめざすもの。それは、「スピード&情熱No.1」である。
ある夜、岩崎は研究・開発センターで新しいデザートの試作に没頭していた。クリームを指先にからめて口へと運ぶと、思いどおりの味に仕上がったと小さくうなずいた。 |