―この仕上がりなら、宅配を利用する主婦層に強くアピールするに違いない。
インクのにおいが残る生協宅配チラシの刷り上がりを見ながら、家田真由は心の中で小さくガッツポーズをとった。チラシにはアピールしたい商品へのこだわりが写真とともに大きく掲載されている。自信のある商品だからこそ、できるだけ多くの人に利用してもらいたい…そんな想いが叶うと実感したからだった。

関東に広く組合員を有する生協に向け、エビピラフとチキンライスを導入する仕事を引き継いだのは、入社1年後の2004年3月のことである。生協の宅配向け商品は、いかにチラシに載るかが大きな課題となる。チラシに載らなければ売上げはゼロ。商品導入が最終決定したとき、家田の想いは商品をいかに魅力的にアピールできるかの一点に絞られていた。そのための方策のひとつが、商品特性を語りながら競合商品との差別化がはかれるネーミングの開発だった。何十案もの候補の中から採用されたのは、「じっくり炒め炊き えびピラフ」と「トマトソースがおいしいチキンライス」というネーミングだ。家田はさらに、女性ならではの感性で、商品を手にしたとき、主婦の好感を得られる色づかいや書体のパッケージを選択していた。

生協の宅配というチャネルは、冷凍食品のカタログ販売という特異なポジショニングである。このチャネルにおいては開発と営業との連携が特に大切になってくる。営業として市場と開発の架け橋の役割を期待される家田はマーケティングに対する意識が強い。

―冷凍食品は、社会構造の変化を反映する食文化のひとつである。
冷凍食品を考えるとき、いつも家田の心に立ち止まる視点だった。女性の社会進出などにより、冷凍食品市場そのものが広がってきた。冷凍食品を使うことへの抵抗感も次第になくなりつつある。そして、今後は、さらに高齢社会の成熟、子育ての支援を社会に求める傾向から、冷凍食品の宅配という購入手段は一層ニーズが高まっていくだろう。その中で、味の素冷凍食品が果たすべき役割とは……。

家田がめざすもののひとつは、商品だけでなく営業対応などにおいても「安心できるNo.1」であることだ。確かな仕事をしてくれるから安心できる、トラブル時の対応が速いから安心できる、期待に応えてくれるから安心できる…。じっくりと築き上げる安心できる関係が、味の素冷凍食品の未来につながっていくと確信している。

ある昼下がり、家田がパソコンに向かって企画書を書いていると、生協の担当者から電話があった。
「“じっくりえび”と“トマソーチキン”、売れ行き好調ですよ」
受話器を置いた家田は、その旨を手短にまとめるとスタッフ全員にメールを送信した。
家田 真由 mayu ieda
開発営業部 (現在、研究・開発センター開発グループにて活躍中)
2003年入社
大学院・調理学研究室卒業
ページトップへ