「市場の売れ行き動向にあわせた商品構成にされてはいかがでしょうか」
責任者たちがうなずきながら資料に目を落とす姿を見て、保崎光次は提案した利益拡大プロジェクトへの期待の大きさを実感した。関東で店舗展開をはかる某大手スーパーへのプレゼンテーションを行っていたときのことである。プロジェクトではいくつもの方策があったが、そのひとつがこのカテゴリー・マネジメントだった。

某大手スーパーへは、これまでにも何度か売り場を活性化させるプロジェクトを提案し、高い評価を受けた経緯がある。当時のプロジェクトにも携わった保崎は、上司から少なからず影響を受けていた。味の素冷凍食品の営業フィロソフィーとでも言えそうなものである。曰く、「売上目標の達成は、起こりうる問題点の解決により可能となる」。曰く、「問題や課題を解決するのがセールス活動である。売ることがセールス活動ではない」。その語録を無条件で受けるには抵抗があったが、今回のプロジェクトは保崎が意識するまでもなくその精神が受け継がれていた。

「事前に防ぐことのできる問題の芽は、あらかじめ摘んでおきましょう」
保崎の提案は、誤請求の防止など実務面で多くの問題点の解決につながり、その結果として業務効率のアップへとつながった。さらに料理教室を実施することで利益アップを促すとともに、販売店と地域住民との良好な関係の創出へとつながっていった。

保崎がめざすのは、販売店や卸問屋との信頼関係に基づいた「必要とされるNo.1」である。そのためには、冷凍食品メーカーとして単に商品をすすめるだけでなく、常にマーケティングを意識して他メーカーではできない提案を行っていくことが欠かせない。その活動を通じ、「味の素冷凍食品に頼んでよかった」「商品を入れてよかった」という言葉を聞くのが、なによりの喜びなのである。

販売店の売上アップだけでなく信頼関係を深めるうえでも成功を収めた利益拡大プロジェクトでも、担当者からうれしい言葉をいただいていた。だが、自分がイメージした総合的な提案のすべてが実施されたわけではなかったため、心から満足することはできなかった。保崎の掲げるハードルは、本人が意識せずとも高くなっている。それは、保崎自身が進歩している証だ。

ある夕方、保崎はいま担当している大手スーパーに出かけた。冷凍食品売り場に足を運ぶと、棚割をチェックして気づいたことを手帳にメモした。
保崎光次 koji hosaki
家庭用事業部 東日本営業部 (現在も同部署にて活躍中)
2001年入社
農獣医学部卒業
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